上場による調達資金をAIや自動運転への投資に充てるとしていますが、重複上場の最大目的は米国の制裁により米国市場から締め出される若しくは投資しにくくなるリスクを避けるためであることは明らかです。
一時は百度がナスダック上場廃止を検討とも伝えられていました。
百度がナスダックに上場したのが2005年ですからもう15年以上米国市場で取引されて来た訳です。
アリババのナスダック上場が2014年で香港重複上場が2019年
JDドットコム(京東)のナスダック上場が2014年で香港重複上場が2020年
二年前はこれらの中国IT大手に投資したければ香港ではなく米国市場にアクセスする必要がありましたが次々と香港に重複上場しています。
最初から香港で上場してナスダックでは取引できないテンセントと合わせてアリババ・百度の中国本土IT大手3社が香港市場に揃うことになります。
iFreeNEXT FANG+インデックスという投信があり、米国上場10企業を投資対象としていますがアリババと百度の中国2社だけが米国8社に交じっています。
テンセントが含まれないのは米国上場していないという理由だけであり「インデックス」としては歪な指数なんですね。
逆に言えば、アリババや百度が上場していない香港市場の株価指数も歪であり中国本土の全体を表す株価指数としては欠けていたとも言えます。
米国の制裁のおかげで香港市場に続々と集結しているし、この動きは今後も続くでしょう。
今米国から制裁を受けているスマホメーカー大手の小米(シャオミ)は2018年にナスダックではなく香港に新規上場しましたが、米中摩擦が激しくなければナスダックを上場先に選んでいたのかも知れないし、現状を見ると香港上場は正しい選択だったのかも知れません。
結果として米国による中国企業制裁や締め出しは、世界の有望IT企業を引き寄せるナスダック市場を弱めて、中国及び香港市場を利して強くする逆効果となりかねませんね。
香港市場のハンセン中国企業株指数にテンセントだけが含まれてアリババや百度が含まれていなかったことが「指数」としては歪で欠けていたのですが、重複上場でも単独でも中国IT企業の香港回帰は歓迎ですね。
逆に言えば、感情的な理由で中国が好きでないから中国企業も避けて、領土問題で全く関係のない中国本土内のユニクロ店舗を破壊している人達と同族のあまり変わらないメンタリティーで米国企業だからとNASDAQに投資して溜飲を下げたつもりで、アリババや百度を買い上げて満足していたつもりの人達にも今後はその目的が果たせるようになるかも知れませんね!?
