2023年09月22日

新NISAにおいて配当再投資で投資信託に劣後するETF・個別株のためにDRIP制度導入を!

来年から新NISAが開始されますが、ETFはますます金融商品として投資信託に対して劣後して選好されにくくなると思います。

同一投資対象でも一部の投資信託が信託報酬でETFを下回るなど低コスト化が進んで競争力を失うことに関しては自業自得であり、優勝劣敗で負ける方が悪いので淘汰されれば良いだけのこと。
ETFは販売会社に信託報酬を分け与える必要がないにも関わらず、投信にコストで逆転されるのは努力不足で片付ければ良い話。

しかしながら、新NISAにおいて分配金(配当金)再投資が投資枠を消費するか否かは努力以外の問題であり、制度上ETFが絶対的に不利な立場に追いやられることになります!

投資信託は運用サイドが無分配の方針を貫き通せば、投資対象企業から受け取った配当金は口数を増やすことなく全て基準価額の上昇として反映され、投資家の側から見れば含み益扱いとなりNISA投資枠を消費しまでせん。
一方、ETFは投資対象企業から受け取った配当金から費用を控除した全額を投資家に分配することが義務付けられているので、投資家にとって含み益扱いにしてあげることは不可能です。

もちろんNISA口座であれば投信が分配しなくてもETFが分配しても非課税となるので、その点では有利不利はありません。
決定的に不利になるのは、ETFの分配金再投資(個別株なら配当金再投資)を投資家自身がNISA枠内で行った場合に新規投資額としてカウントされNISA生涯枠の一部を消費してしまうこと。
生涯投資枠は簿価で最大1800万円と決まっているので、分配金も含み益として何年でも繰り延べられる投資信託の方がETFより有利です。

別の言い方をすると、ETFの場合はNISA簿価1800万円分がもたらす1〜4%程度の分配金を特定口座で再投資することになるので、再投資分が将来生み出す利益は課税扱いとなる不利がある。
従来のNISAも同じ不利はあったのですが、年間40万円枠のつみたてNISAがそもそも投信をメインターゲットにしていたこと、一般NISAの非課税期間は5年だったのでETF分配金は致命的な欠点にはなりませんでした。

しかし、新NISAは非課税期間が恒久化されていることと、成長投資枠1200万円分が全体の2/3を占めるので本来ならETFが投信より選好されることも考えられるのですが、分配金再投資が投資枠を消費してしまうなら、私も含めて成長投資枠でも投信で良いかと妥協する投資家も多いと思われます。

そこで、NISA制度におけるETF(個別株)の競争力維持のために日本においてもDRIP制度の導入を真剣に検討すべきではないでしょうか?
米国のDRIP制度は、投資家が自動再投資を選択しておけば証券会社が分配(配当)金が出る都度その対象銘柄に手数料無料で再投資してくれる仕組みと理解していますが、投資家自身が手動で再投資した時にその投資額を新規と見なさずNISA枠を消費することなくNISA枠内で扱うのは難しいように思います。

証券会社が代理で行った自動再投資分はNISA枠内で取り扱いつつNISA枠を消費しないという仕組みの作り込みは可能ではないですかね?
それでもETFなら口数、個別株なら株数がNISA枠内で増えることになり、単純に取得価額 x 口数(株数)=NISA簿価とはならなくなるので管理がややこしくなるとは思います。

新NISAで高配当ETFや個別株の高配当銘柄なら配当(分配)金を非課税で受け取りたいというニーズが強いので再投資の不利はデメリットに感じない人も少なくないとは思いますが、分配金が特に目当てではなく同じ投資対象で投資信託かETFかを選択する時には再投資分がNISA枠を消費してしまうETFは法制度のせいで大きなハンデを負っているように思えます。

来年開始には間に合わないと思いますが、ETFの競争力維持のために制度上の不利を克服して投資信託と同じ競争条件となるよう、新NISAへのDRIP制度取り込みを真剣に検討して頂きたいものです。
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posted by 韋駄天太助 at 17:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 全般共通 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年09月16日

金融特典がセットの「auマネ活プラン」は投資家には有利な優しいサービスか!?

KDDIが9月1日からデータ容量使い放題で金融特典がセットとなる「auマネ活プラン」を開始しました。

そりゃau系金融との併用で激安にでもなれば使いたいと思いますが、投資家にとってはかなり有利となるプランなのでしょうか?
「auカブコム証券」「auじぶん銀行」「au PAYカード」「au PAY」決済を現在利用しているか新規取得・開設するものとします。

auマネ活プランの月額料金は税込7238円。
ここから価格を下げる為に確実に値引きされる特典を拾い上げます。

●au PAY残高還元特典 ▲800円
この特典はau料金をau PAYカードで払い、引き落しをauじぶん銀行に設定すれば確実に得られます。

●クレカ積立特典(還元率0.5%上乗せ) ▲250円
積立が月5万円までなので、通常1%還元の500ポイント還元が、1.5%還元の750ポイントとなり、250ポイントが「auマネ活プラン」の恩恵となります。

●金利優遇プラン(0.05%上乗せ) 預金残高によるが1千万円なら▲333円
auじぶん銀行の普通預金金利が0.5%上乗せされますが、残高1千万円の場合で月に416円の利子となり、丸めて20%税率の計算で税引後は333円の利子となります。
この特典に上限額は設定されてないようなので、残高が何億円あれば青天井でマネ活プランの月額を越える利子を得ることも可能でしょう。(笑)

●au PAY[スマホ]決済特典(還元率0.5%上乗せ) 月額3万円利用として▲150円

これらの特典を合計すると▲1533円となり、「auマネ活プラン」を月額実質5705円で使えることになりそうです。
うーん、全然おいしくありませんね。(笑)

そもそもモバイルの使い放題は不要なので固定替わりにも使えれば検討の余地もありますが、テザリングは月50GBまでの制限があり楽天モバイルのようにこれ一本で自宅回線まで賄うという使い方は塞がれています。

但し、データ利用が月3GB以内の場合は▲1650円自動で割引される仕組みがあるので、この場合は実質価格が月額4105円まで下がりますが、この容量なら格安系を含めて千円前後で快適に使えるサービスが多数ありますね。

個人的な結論は「auマネ活プラン」不要ですが、au PAYゴールドカードなら更に特典が上乗せになるので、保有者やゴールド年会費をマネ活の特典で実質無料化したいと考える人にはメリット大きいかも知れません。
ゴールドカードなら通信料金決済で10%還元、au PAY決済特典(チャージ分含み)最大2%還元、au PAYカード決済特典1.5%還元、金利優遇最大年0.30%、クレカ積立2%還元と大変優遇されているので、年会費11000円分は特典還元で補って余りあるかも知れませんね!?

「auマネ活プラン」が世間にどの程度インパクトがあるのかわかり兼ねますが、auカブコム証券にとっては何千万人のau携帯利用者から証券サービスの取り込みが出来るならインパクトは小さくないかも知れませんね。
(個人的には3大キャリア本家ブランドのサービス料金は元値が高過ぎて何十%割引になったところで使う気になりませんが。)

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posted by 韋駄天太助 at 11:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 全般共通 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年09月08日

インド株投信の信託報酬下げ加速!auAMが0.5%台投入もiFreeNEXTは0.4%台下げで三つ巴!?

SBIアセットが「SBI・i シェアーズ・インド株式インデックス・ファンド」を2023 年 9 月 22 日に信託報酬0.4638%(税込)で運用開始するとお伝えしましたが、他社の新規設定と既存の対抗引き下げによりインド株投信のコスト低廉化が急速に盛り上がってきました!?

上記のSBIアセット発表は8月22日でしたが、翌日の8月23日にauアセットマネジメントが「auAM Nifty50インド株ファンド」を信託報酬0.539%(税込)で8月29日から運用開始と発表しました!
運用方法に「株式先物取引を利用する方法」が含まれているので、おそらく現物には投資せずほぼ先物100%で運用が行われる爆売れのiFreeNEXTインドを丸パクリした投信だと思われます。

不思議なことに販売会社にauカブコム証券の記載はなく、取り敢えずSBI証券のみ取り扱いで開始するようですが、SBI・i シェアーズの運用開始前に商品を投入したくてSBI証券と交渉する過程でauカブコムでも扱わずにウチで独占販売なら受けてやらないこともないよと、どっかの芸能事務所みたいな圧力が掛かったのでしょうか?(笑)
auカブコムが早期取り扱いを嫌がる理由はないと思うので、遠くない時期にカブコム含む他社にも取り扱いは広がっていくと思います。

ここで2社から勝負を挑まれた大和アセットも動きます!
9月5日に「iFreeNEXT インド株インデックス」の信託報酬を9月27日付で0.781%(税込)から0.473%(税込)へ引き下げると発表しました!
これはauAMの二番煎じ商品のコストを下回ると共にSBI・i シェアーズとほぼ同等で国内最安水準を取り戻しに来ました。
税込みでは若干SBIが下回りますが、税抜きベースではiFreeNEXTが最安になるように設定することで、SBIの値下げを誘発しないレベルに抑えたのかな?(笑)

但し、純資産総額で300億円を越えた本家のiFreeNEXTに丸パクリ側である運用開始直後のauAMがコストで下回られては勝ち目がないので、auAMの信託報酬引き下げは不可避ではないかと思われます。

各投信の販売会社取り分の信託報酬も比較して投信ポイントも皮算用してみましょう。

         [A]信託報酬(税込) [B]販売会社取り分(税抜) [A]-[B]
SBI・iシェアーズ  0.4638%    0.022%    0.4418%
大和・iFreeNEXT  0.473%     0.18%    0.293%
auAM・Nift50   0.539%     0.21%      0.329%

SBI・iシェアーズはまだ運用開始してないし、大和もまだ引き下げ前なので現状確かなことは、SBI証券にてauAMと引き下げ前の大和は通常の0.1%還元対象であり、松井証券が取り扱う大和(引き下げ前)は11月からの還元サービスで信託報酬の販売会社取り分を還元予定でした。
松井証券でSBI・iシェアーズが取り扱われたとしても還元ポイントはSBI証券と同等と推測され、ポイント込みの実質信託報酬は大和・iFreeNEXTが0.293%まで下がって最安となりそうです。

価格差がなければ利点がなく競争力を失うと思われるauAMが多少潜って引き下げて来る可能性はありますが、このレベルからインド投信の更なる信託報酬引き下げはあまり期待できそうにありません。
それよりもiFreeNEXTでさえ運用開始からまだ半年に過ぎず、3ファンドにはしっかり運用して1年後に問題のない運用結果を示して頂きたいですね。
特に来年からは新NISAも始まるのでインド投信で長期運用と考えるなら、まだ実績のない銘柄で決め打ちしてドーンと資金投入するのは避けて当初は特定口座での打診買い程度に留めて様子見した方が良いでしょう。
(てか、現状でiFreeNEXTは成長投資枠の対象銘柄になったのかな?先物運用アウトで除外なら特定口座で買うしかないけどね!?)

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2023年09月02日

松井証券「投信残高ポイントサービス」はSBI・楽天の国内株式手数料無料化よりインパクト大!?

SBI証券が9月30日より国内株式手数料の完全無料化を発表しましたが、数年前からやると宣言していたことであり驚きはありませんでした。
しかし、楽天証券も10月1日から即追随して無料化すると発表したことは少し驚きでした。
最近の楽天証券は口座数等でSBI証券に引けを取らずネット証券界の2強に伸し上がったことと楽天モバイルの赤字補填(!?)で還元縮小措置が目立ったので高見ではなくても横見の見物をするのではないかと?
やっぱり国内株式手数料でSBIに大きな差を付けられるとマイナス影響が大き過ぎると苦渋の無料化追随断行となったのでしょうね。

SBI証券は新NISA決定前から国内株式手数料無料化を宣言していましたが、今後も各社から新NISA開始に向けてNISA口座を開設or移行してもらおうと大きな施策が打ち出されるかも知れません。
というか、私には既に松井証券が今回SBI・楽天と同時期に打ち出した施策が絶大なインパクトになりました!
松井証券はNISA口座のみで国内株式・米国株式・投資信託の売買手数料無料化を発表しましたが、そのことではありません。
特定口座ではSBI・楽天に追随できずに白旗を振った発表ですからね!?

11月1日から「最大1%貯まる投信残高ポイントサービス」を開始すると発表しましたが、どうもこの内容がSBI証券の投信マイレージを上回る驚きの内容となっているようです!?

POINT1:全銘柄に対して業界最高のポイント還元率!
POINT2:投信残高に対し、年間最大1%のポイント還元は松井証券だけ!
POINT3:新NISA、現行NISA、特定口座、一般口座すべての口座が対象!
POINT4:他社で買付した投信もポイント還元の対象!

付与されるのは「松井証券ポイント」であり、投信自動積立に利用できますが対象投信が「eMAXIS Slim 先進国株式」を含むたった3銘柄に限られているので、この点は大きなデメリットです。
しかしながら、dポイント・Amazonギフトカードには等価で、PayPayポイントには0.9倍で交換できるので「松井証券ポイント」の使い道で困ることはないでしょう。

実は現時点で明らかなことは最大1%の還元だけであり、還元率の決定方法等詳細は明らかにされていませんが、一例として示された還元率から容易に推測することが出来ます。
SBI証券が0.05%未満の還元としている超低コストインデックスファンド(例:eMAXIS Slim米国株株式)では還元率が完全一致。
しかし、信託報酬がもう少し高くSBI証券が0.05%還元としているeMAXIS Slim新興国株式では松井証券の還元率が0.0745%と示されています。
このパーセンテージは当該ファンドの販売会社取り分の信託報酬(税抜き)と一致します!
また、「iFreeNEXT インド株インデックス」の還元率はSBI0.1%に対して松井0.32%と例示され、やはり松井還元は信託報酬の自社取り分(税抜き)に一致します!

因みに、このファンドは信託報酬(税込)0.781%で設定されているので還元込みの実質信託報酬はSBI0.681%に対して、松井0.461%まで下がりますね。
一例ですが、これが松井証券「投信残高ポイントサービス」の威力でありインパクトです!

おそらく松井の還元率はSBI同様に信託報酬の販売会社取り分(税抜き)で設定されると思われ、取り分が1%を越えるまでは全額還元の大盤振る舞いとなりそうです!
つまり、松井「投信残高ポイントサービス」がSBI「投信マイレージ」の還元率を下回るファンドは1つも存在しないことになりそうです!

これは松井証券が投資信託保有による利益をほぼ全額手放す大盤振る舞いをするということを意味してると思いますが、これを目玉サービスに新NISA口座で松井を選んで貰って他サービスに誘導して手数料を落としてもらう作戦なんでしょうね。
低コストであれば還元は同一なので信託報酬が高ければ高いほどSBIではなく松井でファンドを保有するのが有利となります。

上記のインド投信もわかりやすいですが、もう一例として両社が扱う「auAMレバレッジNASDAQ100」(auレバナス)で実質信託報酬を比較してみましょう。
信託報酬(税込)0.4334%に対してSBI還元は0.05%なので実質信託報酬は0.3834%になります。
一方、松井のファンド毎還元率は一例を除きまだ発表されていませんが販売会社取り分と同等と仮定すると0.1845%還元となり、実質信託報酬率は0.2489%まで下がります!

SBIより0.13%程度還元が大きいだけではなく、実質信託報酬がレバなし1倍NASDAQの信託報酬と同程度かそれ以下まで下がってしまいます。
これが松井証券「投信残高ポイントサービス」の強大な威力と言えそうです!

なんせ松井証券の口座を保有しながら今まで一度たりとも松井で投信購入を検討したことすらない私が興味津々ですからね!?
低コスト投信で同還元ならSBI証券で保有、還元率が上回るものは松井証券で保有という使い分けも出来そうです。

但し、新NISA口座を松井証券で開設するかと言えば今のところ時期尚早。
銘柄数もSBIの方が多いし、還元サービスも追随してくる可能性もあるし、他社がまだより良いサービスや施策を投入して来る可能性もあり、ギリギリまで決定は待った方が良いでしょう。

松井証券には「移管手数料無料サービス」もあるので他社保有の投信信託を還元ポイント目当てで移管することも出来ますが、これも慌てず他社の施策も出揃った段階で実行した方が良いでしょう。
注意書きにも「振替完了日から1年以内に、当該サービスを利用して振替入庫した株式および投資信託を他社へ出庫されると、当社で負担した手数料相当額を徴収させていただきます」とあります。

SBI証券が松井還元に追随してくれれば何も考える必要もなくなるのですが、対抗相手が楽天ではなく松井であることも含めて高見の見物を決め込む可能性もありますが、その場合は利用者としてケースバイケースで使い分けるだけですね。

取り敢えず松井証券の「最大1%貯まる投信残高ポイントサービス」は個人的に実質何の恩恵もないSBIと楽天の国内株式手数料無料化なんて吹っ飛ぶほどのインパクトだし、詳細なファンド毎還元率公表を待つと共に、他社特に丸パクリされた上で完全に上回られたSBI証券の対抗施策に期待します!
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posted by 韋駄天太助 at 13:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 全般共通 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする