昨年内に外国株連動を次弾として出すと日経で報じられましたが、12月に投入されたのは信託報酬税込0.11%の「ニッセイ・S米国連続増配株式インデックスファンド」でした。
このファンド自体に文句がある訳ではなく出すのは結構なのですが、第一弾の内容から<購入・換金手数料なしシリーズ>の中に超低コストファンドのミニシリーズを「S」として展開するのではないかという期待は脆くも崩れ去りました。
約束してないしお前が勝手に妄想しただけと言われればそうなのですが、この展開で明らかになったことは既存の<購入・換金手数料なしシリーズ>と競合するような低コスト版のファンドを「S」として出すつもりはないということ。
例えば、シリーズの顔であり純資産6千億円越えで信託報酬0.09889%の「ニッセイ外国株式インデックスファンド」があるのに信託報酬0.5%台で似非コクサイ指数連動を「S」で加えて自社内で顧客が移動して利益を減らすようなサービスはしないということ!?
ニッセイによれば、「S」には「Smart」「Selected」「Solactive社」などの意味や思いが込められているそうですが、今後の投入商品も既存シリーズの邪魔をせず隙間を埋める「Selected」なニッチ分野がメインになるのではないでしょうか?
先進国株ファンドを顔にして資金も集まっていたニッセイは米国株ファンドの投入が他社より大幅に遅れました。
昨年11月時点でeMAXIS Slim等と同じコストでS&P500連動を出したところで全く売れないことは予想できたし、ニッセイにとって邪魔される既存の米国株ファンドもないので思い切って信託報酬0.5%台でライセンスフィーも抑えて「S」ファンドを出すという奇策(!?)に打って出たと思います。
よって、これ以上のインパクトを与える「S」ファンドが今後投入されることは考えにくいと思います。
ちょっと残念な展開ではあるのですが、S米国株式500にはまだまだ充分な可能性があると思います。
純資産はまだ13億円ですが、現時点でSBI証券の積立設定件数(月間)で20位、積立設定金額(月間)で15位に位置しています!
まだパフォーマンスを比較できる段階にはありませんが、一ヵ月騰落率ではSlim米国の6.53%に対して6.52%で差異は誤差に過ぎません。
対象指数に騰落率の差が生じないと仮定すれば、年間騰落率は信託報酬差でニッセイSが0.04%強確実に上回るものの、新設ファンドでその他費用が嵩みがち、かつ巨艦ファンドのSlimのように規模の経済が働かずに信託報酬以外でコスト差が0.04%以上生じるか否かが両者のパフォーマンス優劣を左右するかと。
「S」ファンドではありませんが、ニッセイが昨年3月に設定したNASDAQ100ファンドはNISAつみたて枠非対象にも関わらずSBI証券の積立設定件数(月間)でなんと第1位です(笑)。
同時期設定のニッチなSOX指数ファンドでさえ積立設定件数(月間)で第11位です(笑)。
NASDAQ100は似非指数ではないのに信託報酬が最安レベルであり、エヌビディアが牽引するSOX指数は時流に乗って人気化している面もあると思いますが、ニッセイS米国株と共通しているのはニッセイらしい圧倒的な低コストで投入されたファンドであること。
SOX指数ファンドなんて私の印象では昨年全然売れてないし注目もされていませんでしたが、積立件数11位とか驚きです。
この人気とニッセイが築いてきた<購入・換金手数料なしシリーズ>の信頼とブランドも無関係ではないはず。
やっぱりファンドが認知されて手を出すようになるまで1年程度は掛かるので、S米国株式500もしっかり運用してS&P500ファンドから乗り換えても大丈夫、少なくとも少しはアロケーションしてみようかと思わせるまで地道に頑張るしかありません。
何と言っても、販売会社信託報酬分が還元される証券会社なら実質の信託報酬が年間0.039%程度まで下がる圧倒的な低コストファンド!
このファンドが支持されれば、ニッセイが「S」を自社既存との競合上等で超低コストファンドシリーズ化路線に舵を切るかも知れないし、他社が二匹目のどじょう狙いで似非メジャー指数のライセンスフィーを抑えたファンドを投入して来てもう一段の低コスト化競争が起こるかも知れませんね。
