2009年05月20日

【書評】「中国株投資の王道(ウォール街から万里の長城へ)」バートン・マルキール著

久しぶりに書評を書いてみます。

マルキール教授は米国の著名な経済学者で「ウォール街のランダム・ウォーカー」の著者として投資家にもよく知られています。

もう70歳代の教授が中国投資について書いたのがこの本ですが、サブタイトルは「ウォール街から万里の長城へ」と洒落ています。
日本で売るときに「兜町から・・」では洒落ていないし、こんな凡庸なタイトルになってしまったのだろうか?



サブプライム危機勃発前に書かれた本ではあるが、今読んでも何ら古びたことはないと思う。

学者さんらしいアプローチで、中国の歴史を概観した上で如何に現在の驚異的成長に至ったか、巷で「中国は危ない」と言われるリスクに対する教授の評価・分析、中国への具体的な投資方法について説明されている。

私が一番参考になったのは、「赤い資本主義」!?の勃興として紀元前1000年の孔子の登場まで遡り、かつて世界一の帝国を築いた中国と中国人の強み・弱みを歴史の中で分析している箇所です。

19世紀初期のアヘン戦争から中国が凋落していく様子、共産主義の導入と失敗、民衆の怒りが頂点に達した天安門事件の後、資本主義をうまく導入して驚異の成長を遂げ、今や世界経済の牽引役になろうしていること。

私が強く感じたのは、過去の大きな栄光とその後の大失敗と辛酸があったからこそ、今の中国があるのだということ。
逆に言えば、不遇の共産主義時代も中国にとっては経験する必要があったのではないかと感じました。

ここを掘り下げると書評ではなくなってしまうのですが、今米国が社会主義かと揶揄されるような対策を取っていることは歴史の必然なのかも知れないと思う・・?

もう一つ指摘すると、教授が「赤い資本主義」と批判的ではない意味で使っていますが、与えられた民主主義を一向に活かせないどこかの国が経済危機で矢継ぎ早に経済対策を打ち出せた共産党独裁に経済を管理しリードする面で勝るとは限らないことは、我々が一番体感しているのかも知れない。(書評を書け!)

巷で言われる中国悲観論について8つのリスクを挙げて検証した教授の分析と意見も参考になります。(人口高齢化・貧富の差拡大・汚職の蔓延など)

教授の立場は勿論リスクはリスクとしてあるし軽視はできないが、巷で言われるほど悲観すべきものではなく、その他のポジティブな要素を鑑みると、中国投資を組み入れないことの方がリスクである(中国に超強気)とのスタンスです。

具体的な投資方法については、米国人向けに書かれた本の翻訳なので日本人にはそのまま使えない面はある。

しかしながら、なんせ「ランダムウォーカー」を書いた分散投資を勧める大先生が語る方法なので、中国株投資と言えば「1年で2倍になる銘柄はこれ!」みたいな本や雑誌に飛びついてしまう人には考え方が大変参考になると思います。

分散の1つとしてアジアの中で恩恵を受ける日本への投資も勧めているのですが、TOPIX(東証平均)と中国関連日本銘柄(コマツなど)の2000年から2007年のパフォーマンスを比べた表が乗っていました。

どれだけ違うと思いますか?
TOPIXは7年間で増えも減りもしませんが、中国関連は平均で3培の株価になりました!

中国株投資に二の足を踏んでいる方は、お手軽に中国関連の日本株を買ってみるという方法はリスク分散にもなるし良いかもしれません。

これらも含めて日本人は米国人よりも中国投資に関しては恵まれているかも知れません。

投資信託は溢れているし、中国A株連動ETFは2種類あるし、香港上場の中国個別株もネットで簡単に購入できます。(他の外国株よりは低コスト)

地理的にも近いし、中国の情報は早く多く手に入り易いと思います。

書評半分になってしまいましたが、中国に興味はあるがなんとなく怪しいと思っている方や、既に投資している方で歴史や将来の成長性・リスクや(米国から見た)投資手段を知りたい方にはオススメします。

評価:★★★★☆(星4つ)

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posted by 韋駄天太助 at 13:09 | Comment(2) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
中国の投信を今から
始めるのは、良いアイデアと
思います。銘柄にもよりますが、
高値から7割近く下げてますし、
またバブリーな展開が、あるかも
ですし。中長期投資として、大変
魅力的かと。(余裕資金での制約付きですが)
株はコメントレスです。

でわでわ。
Posted by bbctv at 2009年05月20日 13:30
そうですね。
付け加えると、悲観論もよく聞いておいた方が良いと思いますが、願望・希望・嫉妬のように中国悲観論を述べている人もいますので取捨選択は注意して下さい。
また、日本の経済情報誌は中国悲観論が大好きですから個人的には割り引いた方が良いと思います。
Posted by 太助 at 2009年05月20日 23:31

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