2012年01月24日

国内ETFに分散より集中を投資家は望んでいる!束になった先進国がタイに負ける現実!

東証のHPで月刊ETF・ETNレポートの掲載が12月版から始りましたが、その中に売買代金上位20銘柄がありました。

興味深かったのですが、当然上位に来る日経平均・TOPIX・東証REIT指数に連動するETFを除いて、東証116銘柄のETFの中で売れ筋はどうなっているのでしょう?

3位 :SPDRゴールド・シェア(1320)
4位 :純金上場信託(1540)
8位 :純銀上場信託(1542)
9位 :東証銀行業連動(1615)
13位:純プラチナ上場信託(1541)
14位:海外新興国[MSCIエマージング](1681)
15位:ブラジル・ボベスパ連動(1325)
16位:インド・Nifty連動(1678)
17位:NYダウ連動(1679)
18位:海外債券インデックス(1677)
19位:タイ株式SET指数連動(1559)
20位:海外先進国[MSCIコクサイ]連動(1680)

ゴールドが上位に来るのは予想通りでも、プラチナまで13位に入るのは予想外。

9位に国内で銀行業だけ入っていますが、業種別では他にランクインがないのでたまたま投機対象になっただけか?
14位以下には(1つを除き)海外株式インデックス連動ETFが並ぶのですが、MSCIエマージング分散型指数連動が一番上に来ているの面目躍如と言ったところ。

さて、注目は20位の海外先進国インデックス分散連動型のETFですが、ブラジル・インドはおろかタイ1カ国に連動するETFよりも売買代金が小さいという現実!

分散命のいわゆるインデックス投資家が騒ぎ立てても、良かれ悪しかれこれが現実であり、これが本邦投資家のニーズを表しているのだと思います。
インデックス投資家は多分このようなランキングを見ると、先進国よりプラチナやタイ株なんかを沢山買っちゃう本邦投資家の金融リテラシーが低いと嘆くのでしょうが(笑)、ブラジルレアル投信とは違ってタイ株ETFの商品が素晴らしいから当然です!?

そもそもタイに投資すること自体が難しいのに、信託報酬たった0.55%でタイの株価指数に連動してくれるなんて、日本中どこ探しても他に比類する商品はないのだから売れて当たり前!

国内ETFは指数と連動せず乖離が大きいので、インデックス投資家はETFより投信を選択しているという意見もあるでしょうが、相場もPER/PBRも見ずにファンダメンタルズ分析も一切無意味と一蹴して、0.01%のコストを気にして低コスト分散を出せ出せと大騒ぎするのに、自分は他人が毒味した後に石橋を叩きまくった上で結局渡らないってオチだから(笑)、出来高が増えずにタイ株連動よりも売れないのもまた事実。

念のため言っておきますがインデックス投資自体を否定しているのではありませんが、運用会社も証券取引所も証券会社もネットで横に連帯して騒いでいる大きな声を投資家全体のニーズと誤解して優先順位を間違うと、投資家が離れてメシのタネも失いかねませんよと。

このランキングが示していることは、投資家は広く分散された商品よりも1つのインデックスに連動した商品を求めているということです。

私が以前から言っている通り、タイでもインドネシアでもドイツでもギリシャでも1カ国単位でETFをラインナップして最低売買単位を下げて投資家が自由にポートフォリオを組めるようにして、分散パッケージ化と正反対で個別化の方向に向かうことが投資家のニーズに応えることではないでしょうか?

ネットの声では私のような意見は圧倒的少数派でしょうが、東証のETFで広く安く分散された先進国株がパッケージで束になっても、タイ1カ国に売買代金で負けているという現実を売る側も買う側も受け止める必要があるでしょう。

投資家から投資行為の自由を奪うパッケージ化が投資の本流である筈がなく、買わないのに横並びで連帯した大きな声にかき消されて、投資家の求めている個別のバラ売りという方向性を売る側は見誤ってはならない。

大根や白菜がセットでないと買えない八百屋とか、鶏肉100g買いたいのに牛肉300gと比率まで指定されセットでなきゃ売らない肉屋を、多くの消費者が求める訳ないでしょ!?
買わないのに八百屋の外で騒いでいる人達の意見ではなく、八百屋の中で金を払う人達が何を求めているのかに耳を傾け優先すべし!

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posted by 韋駄天太助 at 15:15 | Comment(7) | TrackBack(0) | 株式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私もそう思います。タイ株ではオーロラがありますが高コストですがリターンはダントツです。タイ株ETFも良いと思います。
Posted by Tansney Gohn at 2012年01月24日 16:27
>投資家は広く分散された商品よりも1つのインデックスに連動した商品を求めている

この分析は問題があるように思いますますがいかがでしょうか。

(1)純資産総額
純資産総額では「MSCI Kokusai>タイ株」です。

2012年1月25日時点の純資産総額
・タイ株(1559):4億円
・先進国株(1550):20億円
・先進国株(1680):48億円
タイ株ETFは4億円しか集まっていません。設定日が2011年5月と一番遅いですが、2010年11月設定の1550と比較しても5倍の差。(ちなみに2011年12月末ではプラチナETFが18億、銀は43億、金は222億)

売買代金は回転率が高ければ上がるので、それを人気の指標とするには疑問があります。東京電力は原発事故以来、売買代金で1位になることが数知れずです。暴落局面では市場をにぎわせました。これを投資家が望んでいる商品としていいのかは疑問有りです。
タイ株は売買代金が1カ月の売買代金が2億で純資産が4億円ということはかなり投機のニーズが強そうです(前月比-54%ということですから、11月は売買代金>純資産総額)。かなり回転率が高く、そのようなタイ株やプラチナの売買代金を見て「本邦投資家のニーズ」だとするのは早計では。
ましてや、インデックス投資は長期保有(低回転)を是としているので、「タイ株の方がMSCI Kokusaiよりはるかに回転率が高くて売買代金が大きいんだ」と言ってもツッコミにならないかと。


(2)資金が入ってくるMSCI Kokusai。資金が逃げていくタイ株。
タイ株は投資信託ではオーロラファンドがありますが、以下のような基準価額と純資産総額の推移です。(期間中の分配金は90円)
・2011年2月28日→2012年1月24日
 ・基準価額:4918円→5411円
 ・純資産総額:84億円→75億円

基準価額が10%も上昇しているのに純資産総額は10%以上減っています。つまり資金流出です。
一方、MSCI Kokusaiに連動するインデックスファンドはSTAM, eMAXIS, CMAM,Funds-iなどがありますが、資産流入超過です。
一方はETFでは数億円でウロウロし、投資信託では順調に資金が逃げていく。片方はETFでも投信でも数十億円を集めて資金流入が続く。どちらが人気があると言えるか…


(3)パッケージ>個別化

パッケージ化より個別化がニーズとは言えないと思います。
東証と言えば、まずは日本株です。
もし個別化にこそニーズがあるなら業種別インデックスファンドはTOPIXなどのように全部を含んだインデックスより人気があるはずです。
しかし、実情では業種別インデックスファンドはそのグループで集計しても純資産総額も売買代金も1306,1330の足元にも及びません。
このように個別化商品よりもパッケージが好まれることもあります。


あえて東証のETFのデータから判断すると、「タイ株は市場は小さく長期投資の需要はほとんど無いが、短期回転の投機の需要は結構ある。先進国株は短期回転の投機の需要が弱く、長期投資の需要が強い」ということかと。
短期投機家のニーズを満たす商品で投機が盛り上がっていると言って長期投資家のニーズが否定されるべきではないし、長期投資家のニーズを満たす商品に資金が集まっているからと言って短期投機家のニーズが否定されるべきではないと思います。今回の比較はそのようなものだと思います。
Posted by 吊られた男 at 2012年01月26日 00:22
Tansney Gohnさん

タイ株ETF良いですね。私も現状は持っていませんがホールド対象候補です。マレーシアも。


吊られた男さん

投資家全体では分散より集中を求めていると言ったのは客観的分析結果として導いたのではなく、私の推測であり意見です。
パッケージを出すより、ごく自然にまず大根と鶏肉に値札を付けて売る方が投資家全体では優先順位が高いとの推測・意見であり、ランキングを以って言っているのではありません。
12月単月の売買代金ランキングであることは明記しているので、その解釈は読む人それぞれの判断で良いと思います。
タイはインパクトのある一例で取り上げたに過ぎませんが、投資であれ投機であれ12月にタイETFがコクサイより証券会社の手数料収入に貢献したことは確かでしょうし、売る側にも買う側にも様々な観点があると思います。
業種別は切り口に人気がないのであり個別化ではないし、TOPIXのバラ売りは個別株という東証のメイン商品なので、ETFに要求はないでしょう。
長期投資家の中にも様々なタイプがいますし、誰かのニーズを否定しているのではなく、売る側もネットの声でバイアスがかかってETFの顧客像を捉え違えてマーケティングを間違うと儲からないと、他の投資家ではなく売る側に意見を言っています。
Posted by 太助 at 2012年01月26日 10:45
うーん、12月のETFの実績を再度取り上げられていますが、それならMSCI Kokusai ETFの需要は大きいと言えるように思います。

48億円×0.25% > 4億円×0.55%


タイ株ETFも個別化ではなく新興国株のセクター別のようなもので、個別化ならタイ個別株ではないでしょうか。
TOPIXの切り分け方が人気の問題だというのであれば、タイ株の人気も個別化ではなく切り口が人気と言う話ではないでしょうか。


掲示された東証ETFのデータでは個別化とパッケージのどちらが人気はよく分かりませんし、仮に事実に基づかない推測であれば東証ETFの12月時点のデータを出さなくてもいいように思いました(スミマセン)。事実ベースだと思ったので、その事実の見方はおかしくないか…と書かせていただいた次第です。



>大根や白菜がセットでないと買えない八百屋とか、
>鶏肉100g買いたいのに牛肉300gと比率まで指定され
>セットでなきゃ売らない肉屋を、多くの消費者が
>求める訳ないでしょ!?

これは少しミスリードかと。
数万円で数百種類〜を買えるパッケージと、数万円で数種類しか買えない個別株です。(先進国の場合は1000銘柄超)
個別は「大根を100本単位でしか買えない八百屋とか、鶏肉を10kg単位でしか買えない肉屋」に相当するかと思います。数十円で個別株を買わせてくれるなら別ですが。(重ね重ねスミマセン)
Posted by 吊られた男 at 2012年01月27日 00:58
話が噛み合っていないようですし、前回のコメントの繰り返しになりますので、当方からの再コメントは控えます。
ご意見有難うございました。
Posted by 太助 at 2012年01月27日 22:54
個別国型もパッケージ型も、
どっちもあった方が、
私には嬉しいな。
選択肢は多い方が単純にベター。
しかし、この国の小さなETF市場だと、
下手にたくさん種類が増えても、
どれも更に売買代金が少なくなって、
結局買えないものばっかりになりかねないな。(^^)
Posted by mushoku2006 at 2012年02月12日 20:24
大手証券の一部の投信に資金が殺到するのとETFが盛り上がらないのは表裏一体かも知れませんね。
もう少し体系的に揃えてくれれば良いのですけど。徐々には良くなっていると思います。
Posted by 太助 at 2012年02月12日 23:22

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