1月13日のS&Pによる欧州9カ国一斉格下げで多くの人が波乱の2012年の幕開けに身構える中、結果的には悪材料出尽くしで上昇の起点となりました。
何度も書いていますし、今回も痛感したのは、皆が悲観して当然下がると思っているときに相場はあざ笑うかのようにスルスルと上昇してしまうということ。
今日は下げていますが、日経平均も昨日9000円を越えて、NYダウは12800台で昨年の高値を更新するまで上昇してしまいました。
日経の9000円で上昇と言えるのか、まだ震災ショック大陰線の下ヒゲの水準だぞと思っている方、NYダウがどんだけ高値なのかを知っていますか?
リーマンショックの谷を全て埋めて、ベア・スターンズ救済後の2008年4月の戻り高値と同レベルにあります。(因みに同時期の日経は14000円レベル)
更に2007年10月に付けたNYダウの史上最高値は13,930ドルなので、実は今の位置からそんなに遠くない。
もし仮にダウがここからたった8%強上昇したら(れば)、ダウが歴史上の最高値を付けるという不思議なレベルまで到達しているのです!?
(私の予想はないと思っていますが、ここまでも充分に裏切られていますから、さて?腐ってもダウの上昇は世界にとっても良いことだと思いますが、逆回転が怖い・・。)
因みに日経平均の2007年高値は(言うな!)18,000円強であり、到達するにはここから100%の上昇が必要であり、昔の史上最高値までは(言うな!)300%以上の上昇が・・。(笑)
NYダウは実は昨年10月から右肩上がりで、日経は逆にトレンドが小さく震災もあって当てはまらないのですが、相場全体ではリーマンショック後の動きと似ているように思います。
リーマンショック時は08年9月から09年2月までの6カ月間も相場は恐怖と共に底を這いました。そして皆が縮み上がっている中、09年3月から急上昇に転じ相場の後を実体経済が追って回復してきました。
今回も昨年8月の米国債格下げを起点として1月中旬の欧州一斉格下げを終点とすれば、5〜6カ月間相場は大きな恐怖で上昇できなかった点は似ているし、上昇に転じるタイミングもスピードも誰もが予想できず意外だった点も酷似しているように思う。
でも、今後はどうでしょう?
リーマンショック後と異なるのは、今年は世界で数多くの政治イベントが既にスケジュールに組み込まれており、当然相場にも上へ下へと影響を与えるであろうとボラティリティーの高まりは警戒しておくべきこと。
もしかしたら、2012年でこんなに順調に上昇できるのは年初の1カ月だけなのかも知れないし、多くの人を裏切って意外と1年中右肩上がりなのかも知れない・・。
私はダウの史上最高値更新には懐疑的なので、ということはここからダウが8%上昇することはない、ということは相場全体が今年右肩上がりにはならないと思いますが、裏切られても被害はなく、あるのは利益ですから、ダウ頑張れ!日経も100%上昇頑張れ!

借金大国アメリカはとにかくデフレが何よりも怖いのでセンチメントが悪化すると手段を選ばず国家ぐるみの粉飾(笑)をして株価を吊り上げようとするのは周知の事実です。
今回のダウのレベルは特にリーマン以前よりドル高になっているユーロやポンドに対しては凄いのですが「円建て」見ると未だにドル円レートが100円程度の時のダウ1万ドルよりも安い状態です。
ただ欧州の通貨安には歴然とした理由があるのでやはり株価上昇はドル安の代償による部分が大きいのではないでしょうか。
ちなみにAUDUSDはリーマンショック時の安値が0.6(当時のダウが7000ドル近辺)、現在は約1.07(ダウ12800ドル)ですのでAUD建てのダウは11667→11962となり上昇率はわずか3%未満ということになります。
アメリカはドルをジャブジャブの超マイナス金利で通貨安誘導して「アメリカ人は国内を含めどこに(欧州以外)投資しても他国の人よりも利益率が格段によくなる」状況を継続させたいのではないでしょうか。
本来ならとんでもないドル安になって悪性のインフレになりそうなものですが個人的には欧州金融危機懸念による対欧州通貨でリスク回避のドル買いバイアスがかかっていることにより姑息にバランスを維持しているように思えます。
特に、秋の米中リーダー交代前後に市場の下落は避けたいでしょうが、中国はともかく米国は誰が選ばれるかわからないし、派手な景気対策を行う財政状況もないし、FRB頼りですね。
今年はアップダウンの大きい一年だと思うのですが・・?
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