外国株式や新興国株式でeMAXIS slimを下回り久しぶりに信託報酬最安の座を奪い返したかに思われましたが、三菱UFJ国際投信は早くも7月3日に同水準に引き下げることを発表しました。
そのリリース内容では
「6 月 29 日時点における他社類似ファンドの情報を元に決定されたものです。今後も引き続き、他社類似ファンドの運用コストに注意を払い、業界最低水準の運用コストをめざします。」
とニッセイへの対抗値下げであることを明確にして、今後も相手がどこであれ値下げには徹底対抗するという公約を明確にしています。
これによって、両者の信託報酬は先進国:税抜0.109%、新興国:0.189%で揃い、ニッセイも仲良く業界最安の座に座れたことは確かです。
しかしながら、消費者(投資家)視点では安いに越したことはなく歓迎ですが、ニッセイの立場で見れば追随が予想できるのでslimにピタリと合わせて三菱UFJ国際には黙らせておいた方が良かったのでは?
何故なら、ニッセイにとっては利益を信託報酬の0.001%レベルで削った上で、eMAXIS slimの即時追随という強みと安心感を印象付ける結果となったから!?
ニッセイは迷いに迷ってslimの影響を無視できずに勝負をかけて最安水準の位置を奪い返しに来たと思います。
ニッセイはシリーズ全体の純資産総額が1400億円を超えているので値下げで新規を獲得するより既存客から安定的に信託報酬を頂くことを優先するのも算数上は間違っていない。
たかが0.1%以下の値下げと思いがちですが、例えば先進国を0.189%から0.109%に下げるということは約42%の破壊的値下げでありニッセイにとっても販売会社にとっても大きな収入減です。
でもやらなければ、何れはslimが純資産総額を大きく伸ばして新規の流入が減るだけではなく既存客も流出しかねないという危機感からでしょう。
結果論で言えば、このタイミングでslimに合わせて来るなら、これまでも随時追随しておいた方が新規獲得には有利だったでしょう。
例えば、次に第三者が最安で出すか値下げして来た時にslimは直ぐに追随してくれると期待できますが、ニッセイはどうでしょうか?
また様子見でスルー状態に入る可能性も否定できませんね。
採算度外視で値下げし続けて赤字で償還するのも無責任なので当然なのですが、三菱UFJ国際はeMAXISで3000億円近い純資産総額がありslimをどれだけ値下げしようが本家には何の影響もなく安定収入が得られる点も大きいですね。
ニッセイもニッセイ slimシリーズを作って一物二価にすれば可能かも知れませんが、元々販売会社も絞っているし分ける理由づけも難しく印象も悪くなってしまいますからね・・。
値下げしたニッセイに文句を言う訳ではありませんが、slimの公約死守と即追随の印象をアシストする結果にもなってしまったかなと・・。
とは言え、slimに対抗したのはニッセイだけであり、国産ファンドのワールドクラス信託報酬低廉化を今後もリードすることを期待します。

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