2021年09月13日

SBIホールディングスによる新生銀行TOBでSBI証券とマネックス証券への影響は?

SBIホールディングス(以下「SBIHD」)が新生銀行にTOBを仕掛けましたが、子会社であるSBI証券や新生銀行が業務提携しているマネックス証券との関係にはどのような影響を与えるでしょうか?
SBIHDが9月9日付けで公開買付に関する超長文のプレスリリースを出しているので、そこから読み解きましょう。

【目的】
@新生銀行を連結子会社として両グループ間の事業提携関係を構築・強化
A役員の全部又は一部を変更し、最適な役員体制の実現を可能とする議決権を確保

【経緯】
2019年8月に新生銀行との資本業務提携を検討開始し、9月に新生銀行社長に対して子会社化してSBIHDの中核企業と位置付けて提携するための具体的な提案も行う。
その後に新生銀行社長から提携内容には賛同できず資本業務提携も締結できないと回答。
一方、証券分野についても、SBI証券は2019年11月から2020年10月にかけて新生銀行側と協議したが、当該SBI証券の提案に対しては新生銀行側より何らの連絡もなく、2021年1月にマネックス証券との業務提携が発表され、その業務提携の対象にSBI証券の提案が含まれていた。

【新生銀行との提携によるシナジー】
(a) リテール口座と証券分野における連携
新生銀行の銀行・証券口座との同時開設や預金連携等による利便性向上と送客

(b)小口ファイナンスによる連携
SBI証券の25歳以下手数料実質無料化や初心者向けのネオモバイル証券、FXや暗号資産取引は新生銀行グループの無担保ローン・信用保証・クレジットカード等と若い顧客層が共通するものの商品が重複しないので収益機会があり顧客層を厚くできる。

(c)から(f):証券と直接関係ないので省略

一部推定も含めて超訳すると経緯はこうなります。
北尾氏率いるSBIHDは大株主の立場として新生銀行に資本業務提携を提案したが、新生銀行側は提携内容ではなく社長と役員陣の保身の為に拒否した可能性が高い。
また、SBI証券の提携提案には返答がないだけではなく、新生銀行からは何の連絡もなく突如マネックス証券との業務提携が公表され、驚くことにその内容にSBI証券提案の一部も含まれていた。
新生銀行の社外取締役にはマネックスグループの社外取締役を兼務している者も居て、役員陣が保身のためだけにSBI側の提案内容をそのままマネックスに持って行き業務提携を纏めたことが強く疑われる。
このような経緯に鑑み、時間の無駄と情報漏洩に繋がるだけとなる新生銀行側の経営陣と話し合いを再度持つことなくTOBに至る。
結果、敵対的買収も辞さない。

子会社化の目的はSBIグループが新生銀行を地銀連携の核にするとか複数あるのですが、今回は証券業に絞ります。
具体的にSBI証券とのシナジーとして述べられているのは、新生銀行口座との連携でリアルタイム入金は勿論のこと住信SBIネット銀行のハイブリッド預金と同様の形態を考えていたかも知れません。

もう一つは証券に限らないがSBIグループの若年層向け商品・サービスとハッキリわかりやすく言えばレイクALSA ちゃんのCMでもお馴染みで高金利貸しの消費者金融をセット売りして儲ける。

SBI証券が提案し、新生銀行がマネックス証券との提携で実現した内容が多分これですね。(笑)
新生銀行の投信口座や証券口座を2022年1月4日(予定)にマネックス証券に移管するが、以降も引き続き新生銀行の店頭・電話・ネットで投信や債券の取引を可能とする。

更には、マネックス証券が新生銀行グループのアプラスと連携して始めたマネックスカードで投信積立によるポイント還元サービスもSBI証券が提案していた可能性もあります。
でも、これはSBI証券が三井住友と組んで先に始めてるし自社グループのミライノカードもスルーしているので新生銀行には提案してなかったのかも知れません。

何れにせよ、このタイミングでTOBを仕掛けているのはマネックスとの提携を阻止する意図もあると思いますが、子会社化して経営陣を総入れ替えしたからと言って既に合意した内容を簡単に破談に出来るんですかね?
新生銀行の投信と債券の残高は約5千億円あるのでマネックスとしては予定通りに貰いたいでしょうね?(だからSBIはあげたくないんだが)

ただ、現実SBIグループの子会社がマネックス証券の投信を取り次ぎ販売するなんて提携は成り立たないし、マネックスの方も残高5千億円は諦めて「この話はなかったことで」と願い下げで終わらせるのかも知れません。
そうなるとアプラス社のマネックスカードも積立ポイント還元のみならずカード自体が早期終了の可能性も?

さて、新生銀行はTOBに対して10営業日以内で義務付けられている意見表明でどのような姿勢を見せるのでしょうか?
あくまでSBIHD側が公表したこれまでの経緯からは断固反対で拒否一択なのですが、SBIHD側からは経営陣の保身に過ぎないと指摘され世間の目に晒されています。
応じるということは、SBIHD側が経営陣の一部又は全部の入れ替えを明確にしているので白旗上げて抵抗を諦めるということですね。

これは週刊誌ネタではなくSBIHDが公表した事実を元にしていますが、大株主の提案に返答もせずにマネックスにそのアイデアをそのまま持って行き経営陣が自らの保身のためだけにSBIHDの支配から逃れようとしたのなら、SBIHDだけではなく他の株主や従業員、更には未だに返せない公的資金を税金で負担した国民に対する背信行為であり、新生銀行経営陣に対して怒り心頭になるのは北尾氏だけではないでしょう。

何れにせよ、社長を中心に経営陣は失態の責任を取る道しか残されていないと思われ、どうせ奪われる椅子の上で最後は会社にとって良かれと思う判断をすべきでしょう。(それがSBIHDグループ入りとは言いませんが)

或いはまたマネックスに買収してくれと助けを求めてみては?
健全に提案合戦してTOB価格で張り合ってくれたら他の株主も大歓迎でしょう。

マネックスグループには新生銀行を買収する資金も余裕も野望もないですかね?
手に入れる筈だった5千億円の金融残高もSBIに奪われちゃうよ。
外野としては、新生銀行へのTOB合戦でSBI北尾氏 vs マネックス松本氏の仁義なき戦いに発展すると楽しめるのですけどね!?
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posted by 韋駄天太助 at 11:31 | Comment(0) | 全般共通 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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