これまでは株価指数だけでしたがコモディティにも投資できるようになりますが、実際のメリット・デメリットはどうなんでしょう?
まず、ETFへの連動なので信託報酬が見えないところでコストに含まれることになるので注意が必要です。
株価指数なら日経225連動と日経225ETF連動では後者の方が信託報酬等のコスト分だけ取引価格が低くなりますね。
金ETFの原資産はSPDRゴールド・シェア(1326)であり、信託報酬は0.44%です。
原油ETFの原資産はWTI原油価格連動型上場投信(1671)であり、信託報酬は0.94%です。(ちょっと高いね!)
取引単位は「ETF価格x100円」となっているので、原資産である東証のETF価格と比較して取引しやすいと思います。(実際にほぼ100倍の価格になっています)
取引時間は9:00−翌6:00で祝日も可能なので東証時間帯に縛られることはありません。
原資産であるETFが連動している米国の先物市場が動いていれば理論上のETF価格が算出できるので東証時間帯以外も取引可能なのでしょう。(これは現物にないメリットですね)
株価指数と同様に年1回リセットを迎えるので取引期間は最大15カ月間でそれ以上はポジションを持ち越すことは出来ません。
金利相当額の適用金利は「一般社団法人全銀協TIBOR運営機関が公表する「ユーロ円TIBOR12カ月物」」です。
では、実際のスプレッドや金利にかかるコストはどの程度なのでしょうか?
東証ETFの現価格を計算の便宜上少し丸めて金ETFが18000円、原油ETFが1700円とします。
くりっく株365で1ポジションを持つと金ETFが180万円、原油ETFが17万円程度となる訳ですね。
スプレッドは変動するものなのであくまで私が東証時間で見た「くりっく株365」の参考値ですが、金ETFが3円、原油ETFが7円開いていました。
金ETFなら180万円のポジションを売買するのに往復300円なので0.02%と非常に低く抑えられています。同様に原油ETFでも0.4%のスプレッドコストになりません。
くりっく株365はスプレッドの他に外付けで売買手数料が掛かるので、安めの業者で往復300円と見積もり加えると、
取引金額に対して金ETFは0.03%、原油ETFは0.59%の売買コストと概算されます。
金利相当額は「ユーロ円TIBOR12カ月物」が適用されるとのことですが、9月実績で金ETFが104円、原油ETFが3円でした。
荒っぽい推定ですが、上場から18日間で上記コストなので単純に365日換算すると金ETFが年間2109円、原油ETFが61円の金利コストになります。
1ポジションに対しては金ETFが0.12%、原油ETFが0.04%の金利コストになります。
(適用金利は同一のはずですが、原油の取引額の方が一桁小さく端数の扱いによる差かと?)
金・原油ETFを1ポジション1年間保有して反対売買した際の概算コストは、
金ETF 0.15%(=売買0.02%+金利0.12%)
原油ETF 0.62%(=売買0.59%+金利0.04%) となります。
CFD取引として見れば金利は0.1%前後で非常に低廉ではあるのですが、現物のETFを売買すれば金利コストは掛からないし売買手数料も大手ネット証券なら無料ですね。
信用取引や店頭CFDよりは低コストなので使い道はあるかも知れません。
レバレッジを掛けないなら決済期限もなく原資産であるETFを東証で売買するのが一番低コストなので、終日取引可能な点とレバレッジ代として低廉と考えるかどうかですね。
しかし、原油は原資産の信託報酬も高くスプレッドも広めなのでコスト的なメリットはあまり感じられません。
なかなか銘柄が拡充されないくりっく株365の中でETFではあってもコモディティまで拡げたことは評価したいと思います。
但し、信託報酬のかかるETFではなく、まだ4カ国しか取引できない株価指数のバラエティーをワールドワイドで増やしていくことにも注力をお願いします。

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