2021年12月06日

MSCIコクサイにタダ乗りするアクティブファンド「SOMPO123 先進国株式」が登場!?

SOMPOアセットマネジメントが「SOMPO123 先進国株式」ファンドを12月21日に設定するとリリースしました。
インデックスファンドではないにも関わらず、外国株投信の中で最安の信託報酬となります!
リリース内容は本当に概要のみで一体どんな投信なのかよくわかりません。

・日本を除く先進国の株式(原則として概ね123銘柄程度)に分散投資を行い、中長期的な値上がり益の獲得をめざすファンド
・主としてネット販売会社を通じて、積み立てなどの長期投資を想定して運用コストを抑えた商品設計
・信託報酬 税率0.077%
・販売会社:SBI証券(12月21日)。松井証券(12月27日)

まとめるとこの程度の内容で不明点が多いのですが、日経新聞がもう少し詳細を報じています。
・MSCIコクサイと比べた変動幅が上下2%程度に収まるように運用する投信
・トリプルB格以上の123社を選び、銘柄入れ替えの頻度を半年に1回程度にとどめて運用コストを抑える
・MSCI指数に直接連動しないことで指数算出会社に支払う費用を節約し、手数料引き下げの原資とする

とても興味深い投信ですね。
名付けるなら「MSCIコクサイ指数にタダ乗りする超低コストのアクティブファンド」となるでしょうか!?

今更MSCIコクサイ連動を最安水準レベルで出したところで先行者に追いつくことは不可能で、かつ利幅は極めて薄く規模を取れなければ赤字でやる意味がないでしょう。
よって、@MSCI指数を使わないことでライセンスフィーを節約し、A対象銘柄を絞って入れ替え頻度を下げることで、インデックスファンドを下回る信託報酬を実現した!と。

付け加えると、MSCIコクサイを上回るリターンを得ようとアクティブに銘柄選定と取引をせずにインデックスファンドと同程度の成績を目指すという本末転倒な草食系アクティブファンドになる訳ですね!?
MSCI指数を使わずに実はMSCI指数の動きに似せるために、プレスリリースでは「MCSI指数ガー」という説明をオープンには出来ずに現状は概要すら不明な投信になっているのかも知れません。

一番気になるのは、コクサイに近似させる為に123銘柄では少なすぎるのではないか?という疑念。
2016年とデータは少し古いのですが楽天証券によるMSCIコクサイ指数の解説から引用すると、日本を除く先進22カ国の1318銘柄で構成されています。
この指数に対して「SOMPO123 先進国株式」は10%以下の123銘柄で±2%のリターンに収めようって訳ですね。
指数内国別構成比で約65%の米国は同じ比率ならSOMPO123で約80銘柄、約4%のドイツはたったの約5銘柄と推定されます。
ドイツでさえ5銘柄程度しか採用できずに構成比約1%のイタリアならたったの1銘柄、22カ国で最下位の構成比約0.1%となるオーストリア・ニュージーランド・ポルトガル辺りはおそらく1銘柄も採用されないと推定されます。

まあ理屈を言えば構成比1%以下は完全無視でもパフォーマンスに影響はないのですが、イタリア1銘柄ではイタリアの株価指数にも近似させられないでしょうね。
銘柄数の制約からMSCIコクサイの22カ国に対して、SOMPO123は10数カ国への分散(?)になりそうなので、この面でもファンドの説明で「MSCIコクサイ」というワードを表立っては出せないのかも知れません。

おそらく123銘柄のバックデータで長期間に渡りMSCIコクサイの±2%に収まっていることは確認していると思われますが、とにかく広く分散したい人には向かないでしょうね。
実際は国別構成なんか無視しても、1300銘柄のうち上位10%の130銘柄を取ればそれがリターンのほぼ全てを決めていてもおかしくないので、そこに下位90%を加えてもリターンは±2%しかブレないって考えることは出来ますね。
人によっては米国だけでもS&Pの500銘柄に分散しているのに、その米国含めて先進国123銘柄なんて安くても眼中にも入らないということになるでしょう。

MSCIコクサイ指数の代わりと考えると疑問符も付きますが、ファンドの基本に立ち返って自分で世界の先進国123銘柄に分散して投資するのは大変だから、インデックスファンド以下の信託報酬0.077%で「SOMPO123 先進国株式」に任せておけばMSCIコクサイ指数に近いリターンは返してくれると考えた方が良さそうですね。
まあ今更MSCIコクサイのファンドが横並びで1つ増えても意味はないし、新しい試みで低コストを実現しようとするSOMPOアセットマネジメントの取り組みは評価したいですね。
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posted by 韋駄天太助 at 11:11 | Comment(0) | 全般共通 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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