悪く言えば、主にiシェアーズの国別(一部地域別)新興国ETFを寄せ集めてパッケージにしただけなのですが、良かったのは「南半球」(?)という観点で国を選んだこと。
多くの新興国株ファンドが対象指数としているMSCIエマージング指数には偏りがあると考えています。
多少比率は下がったと思いますが、中台韓で構成比の5割以上を占めて新興国指数というより(日本除く)東アジア指数と呼んだ方が適切なのではないかと?
(台湾のTSMCや韓国のサムスンなど世界最先端の半導体メーカーもあり、部分的には日本より遥かに先進地域ですけどね!?)
世界の新興国に幅広く分散投資しているつもりで新興国ファンドを買っても、その資金の過半は近距離の3隣国に投資されます。
ようやくインドの組み入れ比率が台湾韓国と同程度の15%程度まで上がって来ましたが、10年前はブラジルより低い6-7%程度でした。
現状インド国単独の投信が売れ行き好調な理由の1つに新興国ファンドではインドをカバーするには物足りないと考える投資家が多いこともあるでしょう。
グローバルサウス投信は東アジア地域を完全に対象外としています。
(アセアンは東「南」アジアだからセーフ!?)
月次レポートで12月末の国別組み入れ比率を見るとトップ5は以下の通り。
@インド23.0%、Aブラジル22.0%、Bメキシコ10.7%、Cサウジアラビア8.0%、Dインドネシア7.6%
この5カ国で7割超を占めるのでその他グローバルサウス各国が騰落率に与える影響は小さく、かつ東アジアは完全に対象外で無関係となるのがこのファンドの特徴かと。
このファンドは以下のニーズに応えられそうです。
●新興国の中でも上記5カ国(特にインドとブラジル)を比較的ポジティブに見ている
●インドに期待はあるものの新興国単国への投資には不安だから分散したい
●台湾の地政学リスクが心配だから中台を外したい(そんなに心配なら日米も外した方が!?)
●中国が日本のバブル崩壊と少子化・デフレの後追いで株価が長期低迷すると信じて疑わないので中国を外したい人
●ただただエモーショナルに中国・韓国に投資したくない人(少なくないですね。)
●MSCIエマージング指数自体が歪であると考える人(私のように東アジアの構成比が高過ぎて気に入らない人)
このファンドはインド等の単国に投資するほど新興国にのめり込んではいないが、MSCIエマージング指数連動から乗り換える、あるいは一定割合を振り分ける際の受け皿になると思います。
ネックは信託報酬税込0.582%程度が決して低廉なコストではないこと。
Slim新興国の約0.15%と比べると高いですが、海外ETFの信託報酬(0.45%程度)にファンドが0.132%を加えているので、どうやっても0.45%以下には下がらずコスト差は埋まらないでしょう。
メジャーな東アジアを外した上で小粒な新興国各国単体のETFを集めてパッケージにしていることを考えれば高くないし頑張っていると思います。
組み入れ比率1位のインドに関しては、SBIアセットが少し前に組成した「SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド」と同じマザーファンドを使ってコストを抑えています。
それならSBIアセットさん、上位5カ国だけはパッケージでなくインド同様に国単体のバラ売りファンドも出して下され!
2位のブラジルだけでもいいから出して下され!
個人的には単国で投資できれば「グローバルサウス株式ファンド」を購入する機会はないかなと思いますが、エマージング指数に代わるか並列で使える新興国株のパッケージ型ファンドの登場は高評価したいと思います!

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