2008年04月07日

【書評】「通貨の興亡」黒田東彦著

株も為替も順調で取り敢えず相場も見なくて良いし、ノーアクションなので、書評でも書いてみます。(今後ちょくちょく書いていきます)


著者は大蔵省入省後エリートコースを歩み、財務官退任後、一橋大学大学院教授、アジア開発銀行総裁になった超インテリである。


本書は3年前の著作であるが、サブプライム問題でドル安が進展する今、とてもタイムリーな内容となっている。


ポンド・ドル・ユーロ・人民元・円を中心として通貨の歴史と現状を俯瞰し、今後の動向についてシナリオを立てている。


通貨の歴史を17世紀にニュートンが英国の造幣局長を務めた時代から振り返り、大英帝国の発展と共にポンドが隆盛を誇り、第
1次大戦を機にポンドが没落し、機軸通貨がドルに移っていく過程と第2次大戦後のドル隆盛の時代を詳述している。


この辺の知識があまりなかった私にはとても勉強になった。


人民元については割と簡単に、円についても詳しく書かれているが、私が一番興味を持ったのは
EU統合からユーロが誕生するまでの説明である。


過ちを繰り返した歴史から学び、加盟諸国の政府と国民が理想に向かい意思統一し、人為的に作り出したユーロという共通通貨を今のところ成功させていることに敬意を表したい。


人間の自由意志により「分裂」から「統合」へと舵を切れるというお手本であり、未来の世界の模範となる画期的な革命なのだと認識を新たにした。


著者は未来の展望として、ドルだけが世界の基軸通貨として機能している健全ではない現状から、ユーロ・人民元・円が代替の基軸通貨となれるかを論じている。


端的に言えば、ユーロはその可能性があり、円はまず無理で人民元も厳しいのでアジア共通通貨の必要性を説く。
勿論実現は何十年も先の話としてだが、アメリカ大陸・欧州・アジアの3極体制が望ましいと。


著者も指摘しているが、欧州とアジアでは歴史的背景も宗教も全く異なるので極めて厳しい道のりだろう。
あるとすれば、中国が中心とならざるを得ないだろう。
中国がある程度日本の顔を立て、日本が譲歩できなければ実現されないだろう。
その時には日本は欧州における英国と同じ選択に向かわないだろうか?
(英国は日本を批判するが島国として共通点は多い)

インド・アセアン・韓国を含めた共通通貨が実現できれば面白いだろうとは思うが。


その前に「米国の51番目の州」と言われた日本がアジアと深く関わっていく必要・メリットを認識できなければ。


言いたいことは沢山あるが、この本を通貨の歴史を知りたい方、歴史とファンダメンタルズから将来の動向を見通したい方にオススメしたい。良書である。


評価:★★★★☆(星4つ)


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タグ:FX
posted by 韋駄天太助 at 20:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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