2008年06月06日

【書評】「マネーの公理」マックス・ギュンター著

金融マフィアを父に持ち、13歳で株式市場に参入し財を成した著者がスイスの銀行界で培われた投機のルールである「チューリッヒの公理」を説明した本。




「すべての投資は投機なのだ」「ギャンブルであるという事実に変わりない」と主張する投機家らしい強い語り口(“こうだ”“なのだ”口調)に投資スタンスの定まっていない方は騙されるかも知れない。

公理が先にありきで(まあ公理ですからね)、それを正当化する事例を持ち出して如何にも説得力があるように本を仕上げている。


著者が投機で財を成しそこに公理があることを否定するつもりはないが、「投資も投機」は詭弁でしかないと思う。
自分はギャンブルをしていると表明する強気な著者が投機を自己弁護するために言っているのではなかろうが、多くの人を投機の道へと導きたいがための詭弁としか受け取れない。

(ここで私は投資がギャンブルでないことを説明するつもりもないし、過去記事でも述べているし、多くの専門家が説明していることである。)


また、著者はデイトレ・スイング等の短期ではないようだが、ファンダメンタルズ分析もテクニカル分析にも否定的な著者が一体何に基づき投機しているかは述べられていない。(単なるカジノなのか?そこは教えないのか?)

4回財産を失った大投機家ジェシー・リバモアの言葉
「私が投機によって失ったお金はいわゆる投資家といわれる人たちによる巨額の損失よりも小さいものであると信じている」
を引用し、長期投資を否定してみせるがロジックが苦しいですね。
リバモア氏の悲しい末路についても著者は明記しているし、ウォーレン・バフェットは何十年の長期ギャンブルに勝って冨を築いたのであろうか?

と全否定してしまうには惜しい本である。

公理の中には投資家が学び取り入れて良いものが沢山あると思う。
私の主観だが、良いと思った公理・既に取り入れているものを列挙します。

「いつも意味のある勝負に出ること」
私の場合、受身を取りつつ勝負することもあるから。

「分散投資の誘惑に負けないこと」
分散投資は確実にリスクを減らすが確実にリターンも減らすので避けている。でも集中しすぎないことは心掛けている(つもり)。

「船が沈み始めたら祈るな。飛び込め」
1年に何回かの暴落では投売りしない(できない)が大暴落の予兆があれば手仕舞いも必要と考えている。

「楽観のみで行動してはならない」
最悪に対処する術を持てとの著者の意見に賛同。

「根を下ろしてはいけない。それは動きを遅らせる」
投資対象に忠誠心やノスタルジーを持つなとの著者の意見に賛同。

「大多数の意見は無視しろ。それはおそらく間違っている」
と疑って見ることはとても重要と認識。歴史のいくつもの事例がそれを示唆しているから。

私には少し「投機家」色があるかもしれないが、投資
(investment)が投機(speculation)では断じてない。
半分肯定・半分批判で読める方にはオススメできる本です。

評価:★★★☆☆(星
3つ)

<P.S.>
昨日の記事に多くの応援ポチを頂いたのでしっかり後編を何回かにわけて書きます。間を置いて記事にするのでお見逃しなく。
タグ: 株式 FX
posted by 韋駄天太助 at 18:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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