2009年10月25日
【書評】「ソロスの錬金術」ジョージ・ソロス著
新版として2009年刊行の本だが、1985〜87年頃に書かれた内容に前書きが付け加えられています。
ソロス先生の書くことは難解すぎます。
20年前の状況分析とその時点での予想を読んで参考になる訳ではありません。
しかし、ソロスの思考回路がどうなっているかを垣間見ることはできます。(難解!)
氏の考えはファンダメンタルズ分析もテクニカル分析もランダムウォーク理論も否定の立場ですが、私が読む限り氏の考えは一般的に言われているファンダメンタル分析の範疇に入ると思います。
「市場は常に間違っている」という有名な氏の言葉もそうなのですが、おそらく一言では真意が伝わらないし、言葉尻を捉えていると誤解すると思います。
少なくともテクニカル分析で財を成した訳ではないと思いますが、長期ではなく短中期での動的なファンダメンタルズ分析と表現すれば良いのでしょうか?
難解な「再帰性」の理論を用いてファンドが驚異的なパフォーマンスを挙げてきたのですが、その理論を理解しようとすると大変です。
私が間違っているかも知れないが、敢えて単純化してみます。
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2009年10月10日
【書評】「中国の時代」ジム・ロジャーズ著
だが、何故中国の時代なのかが知りたいと思って買うと物足りないでしょう。
そんなことは当たり前で、では具体的にどんな銘柄を選べば良いかという観点で書いてあります。
悪く言えば、ジムのポジショントークが満載された本とも言えます!?
沢山の銘柄が紹介(氏曰く推奨ではない)されているので、確かに推奨ではないかも知れませんが、ジムの資産なら全部買いを入れていてもおかしくないと思ったり!?
2008年6月刊なのでまだ情報は古くないと思いますが、紹介銘柄の説明はごく簡単なものですし、ジムが言う通りここから選んで買えば儲かると思ったら大間違いだと思います。
ジムは本の最後にこう書いています。
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2009年09月21日
【書評】「ソロスは警告する 超バブル崩壊=悪夢のシナリオ」ジョージ・ソロス著
(右側はその後に出た続編ですが、今回の書評とは関係ありません。)
と言っても、超バブルはリーマンショックで崩壊してしまいました。
氏がこの本を執筆したのが08年1月から3月のべアスターンズ危機の頃と思われます。
サブプライムショックは既に始まっていて、今回は通常のバブル崩壊とは異なり、住宅ローンバブル崩壊と共に超バブルの崩壊が起こると予測して、ピタリと当てています。
但し、この本が邦訳されて出版されたのが9月ですから、まさに超バブル崩壊の直前であり、この本のお蔭で逃げられた人は日本にどの程度いたかはわかりません。
超バブルはレーガン大統領の80年代に市場原理主義が跋扈した頃から始まっていて、バブル崩壊後の日本の低金利がもたらした円キャリートレードも貢献した過剰なグローバルの信用膨張だそうです。
(氏は市場原理主義否定論者です。でも、市場原理主義で大儲けした!?)
サブプライムショックが引き金となって超バブル崩壊をもたらすと断言しています。
さすが!としか言いようがありません。
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2009年09月13日
【書評】「株式投資の未来」ジェレミー・シーゲル著
投資家がリターンを向上させる為に当たり前のように取る行動が実は低いリターンしかもたらさないことを統計データから検証してバッサリと斬っています。
シーゲル氏のみならず、米国では学者が真面目に市場(相場)を研究して一般人でも読める難しすぎない書籍を執筆することが当たり前のように行われていますが、日本とは雲泥の差を感じざるを得ません。
私の勉強不足かも知れませんが、日本の学者さんで市場を真面目に科学する方がいるのでしょうか?
こういう部分も、日本では投資=ギャンブルと考える割合が多いことに繋がっているのではないかと思いますが、・・・本題です。
以下の問いにあなたはYesでしょうか?
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2009年07月11日
【書評】「黄金の扉を開ける賢者の海外投資術」橘玲著
氏の著作はいつも切り口が斬新である。
私の感想は、投資の実践書かと問われればNo、単なる楽しい読み物かと問われればそれもNo、その中間にある本だと思います。
インターネットがWeb2.0をもたらすのなら、今後金融2.0と呼ぶべき変化も起こるはずで、言語・法律・国境などの障壁から自由でグローバルな存在になる金融革命をいち早く予感したものが黄金の扉を開けると説く。
章の構成は、
序章:さよなら、プライベートバンカー
1章:究極の投資 vs 至高の投資
2章:誰もがジム・ロジャーズになれる日
3章:ミセス・ワタナベの冒険
4章:革命としてのヘッジファンド
5章:タックスヘイブンの理想と現実
6章:人生設計としての海外投資
終章:億万長者になるなんて簡単だ
となっているが、微妙に繋がっているようでもあり、面白い短編集のような印象でもあり。
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2009年07月04日
【書評】「大投資家ジム・ロジャーズが語る商品の時代」ジム・ロジャーズ著
日本で出版されたのは2005年だが、10年スパンの話なので古びたことはないと思います。
ジムは1998年にまともな商品指数がないのでロジャーズ国際コモディティ指数(RICI)とその指数に連動するインデックスファンドを自らで作ってしまった。
この本は6年間で指数が190%上昇した後にまだまだ上がるとポジショントークを兼ねて(?)書かれている。
過去の商品上昇相場が17年は持続しているので、1999年に始まった今回の上昇相場は2016年辺りまでは続くと見ている。
初っ端に商品を勧めるために(?)、他の投資対象は魅力がないとけなしているのですが、その内容が今読むとさすが大投資家と思わせてくれます。
少しだけ内容を紹介すると、
<債券>
ファニーメイやフレディマックの債券を勧められたら電話を切れ。多額の住宅ローン債券を抱えるスキャンダルの温床だ。
<不動産>
米国の不動産は投機バブル。ホームエクイティローン(自宅資産を担保に車や生活費を借金する)の借り手の何百万ものアメリカ人は大変な苦しみを味わうことになるだろう。
この他にも株式が歴史的に見て既に割高であること、双子の赤字の米ドルが危険であることも指摘しているのだが、2005年時点でサブプライム危機が起こる危険を感知していたようだ。(さすが大投資家!)
商品の話よりも、ココがこの本で一番読む価値のあることかも知れない。(当時ならね)
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2009年05月20日
【書評】「中国株投資の王道(ウォール街から万里の長城へ)」バートン・マルキール著
マルキール教授は米国の著名な経済学者で「ウォール街のランダム・ウォーカー」の著者として投資家にもよく知られています。
もう70歳代の教授が中国投資について書いたのがこの本ですが、サブタイトルは「ウォール街から万里の長城へ」と洒落ています。
日本で売るときに「兜町から・・」では洒落ていないし、こんな凡庸なタイトルになってしまったのだろうか?
サブプライム危機勃発前に書かれた本ではあるが、今読んでも何ら古びたことはないと思う。
学者さんらしいアプローチで、中国の歴史を概観した上で如何に現在の驚異的成長に至ったか、巷で「中国は危ない」と言われるリスクに対する教授の評価・分析、中国への具体的な投資方法について説明されている。
私が一番参考になったのは、「赤い資本主義」!?の勃興として紀元前1000年の孔子の登場まで遡り、かつて世界一の帝国を築いた中国と中国人の強み・弱みを歴史の中で分析している箇所です。
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2008年09月22日
【書評】「バフェットの教訓」メアリー・バフェット&デビッド・クラーク著
バフェットの義理の娘がノートに書き溜めたバフェットの警句から厳選して紹介する構成になっている。
一冊丸々がバフェットの格言集とその解説である。
書評は素晴らしいの一言です。(この本というより、格言がです。)
素晴らしいので、私ごときがつまらない書評を書きたくない。
投資家としての教訓のみならず、人生の教訓に満ちている。
今回は、あまり有名ではなさそうな教訓をいくつか引用します。
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2008年08月26日
グローバル投資家には日経ヴェリタス購読をオススメします!
週刊なので当たり外れはありますが、比較的良かった今週号からどんな記事が載っているかを要約して教えましょう。
1部500円ですし、ブログに引用しまくるのは良くありませんが、ヴェリタスの宣伝になるように書くので(勝手に)許してもらいます。
<中国A株、五輪後は伸びる>
アジア国際公開大学教授の王冠一氏のご意見。
中国の五輪開催後の急減速を過去の五輪開催国を例に言われるが、スタジアムや公共施設が無用の長物と化した先進国と異なり、発展途上の中国では今後の近代化の基礎となる。
五輪の投資額は国内総生産に比し微々たるもの。
消費者物価指数(CPI)上昇率も大幅に低下している。
インフレはコントロール可能。
従って、今後のA株には強気。
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2008年07月05日
日経ヴェリタス定期購読開始しました!定期購読は是か非か?
自慢ではありませんが、私は日経新聞を購読していません。
投資家として褒められたことではないと思いますが、そもそもネット時代に昨日の出来事を朝配達して貰って紙情報で取得することにあまり意味を感じません。
日経新聞くらいはと思わないでもないですが、日本株に投資せず円を売っているだけの私には日本経済の日々の細かい情報はそれ程必要ない。
また、朝夕刊セットしか選べない地域なので情報がToo muchだし紙資源の無駄と思い購読していません。
だから、時々コンビニ・キオスクで日経を買って読むという飛び飛びで意味のない情報の取り方をしています。
私の意外なお勧めは日経夕刊を50円でキオスク買い!
朝刊では間に合わない米国マーケットの動向も載っているし、50円でコストパフォーマンス最高。
おっと、今日は日経ヴェリタスを定期購読したという話でした。
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2008年06月06日
【書評】「マネーの公理」マックス・ギュンター著
金融マフィアを父に持ち、13歳で株式市場に参入し財を成した著者がスイスの銀行界で培われた投機のルールである「チューリッヒの公理」を説明した本。
「すべての投資は投機なのだ」「ギャンブルであるという事実に変わりない」と主張する投機家らしい強い語り口(“こうだ”“なのだ”口調)に投資スタンスの定まっていない方は騙されるかも知れない。
公理が先にありきで(まあ公理ですからね)、それを正当化する事例を持ち出して如何にも説得力があるように本を仕上げている。
著者が投機で財を成しそこに公理があることを否定するつもりはないが、「投資も投機」は詭弁でしかないと思う。
自分はギャンブルをしていると表明する強気な著者が投機を自己弁護するために言っているのではなかろうが、多くの人を投機の道へと導きたいがための詭弁としか受け取れない。
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2008年04月30日
【書評】「金持ち父さんのサクセス・ストーリーズ」ロバート・キヨマサ著
ロバキヨ氏の有名な金持ち父さんシリーズの1冊で2004年に出版されたものです。
(私が少し古い本を紹介する場合購入していない可能性があります。
えっ、盗んでないって!住民税の有効活用!?)
ロバキヨ氏の金持ち父さん本は、私の投資に対するネガティブな考え方を変えさせてくれました。
勿論ベストセラーになった当時は全く興味がなく無視していたので読んだのは2年程前のことですが。
日系人という親近感もあり、日本の投資家でも大きな影響を受けた方も多いことでしょう。
2008年04月25日
AERAマネー臨時増刊「今日から始める投資」はまずまず買い&マネックスが海外ETFを6月に開始?
AERAマネー臨時増刊号を買ってみました。
(アマゾンはわかりやすく表示しているだけで、雑誌なので購入はコンビニ・本屋でどうぞ!)
内容としては海外ETFとADRによる国際分散投資とFXの未経験者向け説明記事がメインである。
国際・長期・分散投資については記事のレベルが初心者向けから上級者向けまで取り揃えてあり、なかなか面白い。
FXの記事を読むと頭の中が“???”になるが、それはどの雑誌でも同じであろう。
外貨預金との比較で有利としながら初心者には危険との一般論に終始せず、FXの本質を説明できる人が説明して欲しいものだ。
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